Meddhy英語tips部屋
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音の定位について = 詳細


音の定位詳細

多分英語の発音の定位という言葉自体に直接触れている書籍やサイトは無いと
思います。昔私が、長年米国で暮らした日本人英語教師から聞いた言葉を元に、
私自身で一般的な英語学習や、英語圏生活を通じて確かめた経験で裏付けたもの
です。初めて聞く人には分かりにくい場合も多いと思いますので、もう少し詳し
く書いてみます。


1.理屈

音の定位は単純に、音がどの位置から出ているか、音源がどこに存在するのか、
ということです。音の定位がどこにあるかという論議は、コンサート会場の設定
やオーディオで音楽を聴く際の、音がどこから来ているように聞こえるか、とい
う話題によく出てきます。例えばバイオリンの音が綺麗に聞こえるだけではなく、
どこから聞こえるかも、重要なわけです。特にオーディオで臨場感を出す為に
メーカーは、スピーカーの位置からアンプの特性まで、苦労している様です。左
右位置だけではなくて、奥行き・更には高さまで含めた、空間的立体的な位置を
再現して初めて本当の臨場感に繋がるわけですから。(旧来のステレオ音は、左
右の音の違いと強弱などを聞く人の脳が想像で立体的な音に組み立てて聞いてい
ます。)

また、携帯着メロが他人の携帯からなのか、自分の携帯から聞こえてくるのかを
区別できるのも、両耳に届く音の微妙な差異(強弱/時間差と、音源と耳の位置
関係に対する周波数特性の違い)を感じて脳が音源の位置(上下位置を含む)を
計測するからです。


2.英語での音の定位

各国言語は色々な要素で語句を区別します。日本語の場合は限られた音色と2〜
3段階の高低位が要素で割と平坦ですが、例えば中国語(北京語)だと、四声と
言われる、ローマ字で書けば同じ音の言葉でも、高いまま・低いまま・高い音程
から低い音程へ移行する、低い音程から高い音程へと、どの音程推移であるかで
全く違う言葉になります。日本語の雨と飴の違いどころではない、高低による意
味の違いです。広東語だと、七声です。「声」を間違うと、全く通じません。経
験済み。

一方、欧米語の場合の日本語との違いは、勿論母音の種類が多いこともあります
し、子音の音色の違いもあり、発音練習でも先ずこれに苦労しますが、見逃して
ならないのは、音の定位なのです。音色に加えて、音がどこから発生している様
に聞こえるか、で、聞く人が言葉の違いを判断しているのです。音色と定位が揃っ
て初めてひとつの音として独立性が完成するというか。

日本語でも音の定位がないことはないのですがどの音も大体口内中心辺りからし
か聞こえません。また、位置を違えたところで、音の判別の要素ではないので、
通じなくなることもありません。一方欧米語の場合は聞こえてくる位置の違いが
極端です。音が口周辺のどこから聞こえるかも、音の区別の重要な要素になるか
らです。だから、自分では「R」の「音」は完璧に出来ているつもりなのに、定
位が日本語同様の口の中程(あるいは大抵それよりも奥)にあるため、「R」よ
りは定位が奥にある「L」と間違えられたり、時には全く違う音に間違えられた
りするわけです。

音が声帯だけで作られるという感覚や日本語での音の判別方法の意識だけだと、
音が喉の奥やら、口蓋の真ん中やら、歯茎の裏やら、唇の位置やら、唇の前やら
から出る、というのは「変な話」にしか聞こえないと思いますが、英語では音の
発生位置も、イントネーション、アクセント、音色同様、各音の要素のひとつな
のだと考えれば、納得できると思います。


3.「R」音の出し方

口蓋を「絞る」様にして、息の力で「R」音を押し出す、とでも言えば宜しいで
しょうか。口笛を吹く時くらいの息の力が必要です。日本語感覚で「R」を出そ
うとするときには、逆に口蓋を拡げ、舌を巻いて、息は強く吐かずに発音しよう
としていると思います。逆の努力になってしまっているのですね。

練習し易い単語は、REAL, RED, WRONGなどの最初の音が「R」で、最初にアクセ
ントがある語ですね。更に先ずは口先を可成りすぼめて(唇の両端には力をいれ
たまま)、息を先にだしつつ、元気よく「ゥリー」、「ゥレー」、「ゥロー」みたいに
最初の部分をちょっと長く強く言ってみましょう。うまく行くと「R」音の前に
「w」音が入るほどになります。語音がこもらなくなって、ピーンと張った様な
音になれば、完成です。定位は唇の前に出ました。「イェーイ!」と高らかな歓
声を上げるのと同じ位の気持ちで練習すればいいと思います。

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